大澤真幸、小林恵吾、高山明、松江哲明、桂英史とさまざまな分野で活躍する5名が集い、公開シンポジウムを開催します。高山明/Port Bによる『個室都市 東京』(2009)の発表から10年が経ち、2019年今秋の再演を機に、東京論の更新を試みる計画が立ち上がっています。演劇、建築、映画と芸術分野からも異なる立場の方々に登壇していただき、『個室都市 東京』を糸口にしながら、同時代の芸術をめぐる議論と共に、都市論の刷新をめざして徹底討議します。芸術や社会をめぐる議論の機会として、奮ってご参加ください。入場無料、要予約(定員80名)。
開催によせて
近代的な都市生活者は労働と私生活を区別する都市生活を余儀なくされ、「室内」が近代的な生の継続にとって決定的な意味をもつことになりました。ベンヤミンはこの「室内」に着目し、そこで「私人(Privatmann)」が営む私的な生を読み解こうとしました。ここからベンヤミンの「住む」「歩く」「書く」をめぐる都市論が始まり、最終的にその都市論は『パサージュ論』という問題集として結実します。その問題集は今でも私たちに新鮮で切実な問いを突きつけています。そこで、高山明/Port B《個室都市 東京》の再演を出発点として、21世紀の東京に生かされている私たちにとっての「住む」「歩く」「書く(表現する)」について、改めて問い直してみようと思います。その問いの更新にこそ、新しい「東京論」の地平が拡がっているのかもしれません。
桂 英史[メディア研究, 東京藝術大学大学院映像研究科教授]
登壇者:
大澤 真幸[社会学者]
小林 恵吾[早稲田大学理工学研究科建築学専攻准教授, NoRA共同主宰]
高山 明 [演出家, 東京藝術大学大学院映像研究科教授]
松江 哲明[ドキュメンタリー監督]
司会進行:
桂 英史 [メディア研究, 東京藝術大学大学院映像研究科教授]
日時: 8月16日[金] 19:00-21:00(受付開始 18:30)
場所: TODA BUILDING 1F
東京都中央区京橋1-7-1
入場: 無料、定員80名(要予約)
予約受付は終了いたしました。当日はキャンセル待ち、または立ち見席のご案内になります。
主催: 東京藝術大学大学院映像研究科
共催: TOKYO 2021
協力:戸田建設株式会社
助成:文化庁「大学における文化芸術推進事業」
お問合せ:geidairam@gmail.com
アクセス:https://www.tokyo2021.jp/#access
東京メトロ銀座線「京橋駅」6番出口より徒歩2分
東京メトロ銀座線、東西線「日本橋駅」B1出口より徒歩4分
都営浅草線「宝町駅」A5出口より徒歩5分
JR「東京駅」八重洲口より徒歩8分
プロフィール:
大澤 真幸[社会学者]
1958年生。東京大学大学院社会学研究科修了。社会学博士。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授等を歴任。主な著書に、『身体の比較社会学』、『ナショナリズムの由来』(毎日出版文化賞)、『不可能性の時代』、『自由という牢獄』(河合隼雄学芸賞)、『〈世界史〉の哲学』『三島由紀夫 ふたつの謎』『社会学史』等。現在、個人思想誌『Thinking「O」』(左右社)主宰。
小林 恵吾 [早稲田大学理工学研究科建築学専攻准教授, NoRA共同主宰]
1978年生まれ。2002年早稲田大学理工学部建築学科卒業、2005年ハーバード大学大学院デザイン学部修士課程修了後、2012年までOMA-AMOロッテルダム事務所に勤務。主に北アフリカと中東地域のプロジェクトを担当。その後、早稲田大学創造理工学部建築学科助教を経て2016年より同大学准教授。設計事務所NoRA共同主宰。主な作品に「ワセダライブハウス」、「Gordon Matta-Clark展会場計画」など。
高山 明 [演出家, 東京藝術大学大学院映像研究科教授]
1969年生まれ。2002年、Port B(ポルト・ビー)を結成。実際の都市を使ったインスタレーション、ツアー・パフォーマンス、社会実験プロジェクトなど、現実の都市や社会に介入する活動を世界各地で展開している。近年では、美術、観光、文学、建築、都市リサーチといった異分野とのコラボレーションに活動の領域を拡げ、演劇的発想・思考によって様々なジャンルでの可能性の開拓に取り組む。主な作品に『シドニー歌舞伎プロジェクト』、『ワーグナー・プロジェクト』(横浜)、『マクドナルド放送大学』(フランクフルト)、『ピレウス・ヘテロトピア』(アテネ)、『北投ヘテロトピア』(台北)、『横浜コミューン』(横浜)、『東京ヘテロトピア』(東京)、『国民投票プロジェクト』(東京、福島ほか)、『完全避難マニュアル』(東京)など多数。東京藝術大学大学院映像研究科教授。
http://portb.net/
松江 哲明 [ドキュメンタリー監督]
1977年東京生まれ。99年『あんにょんキムチ』でデビュー。以後『あんにょん由美香』『ライブテープ』『トーキョードリフター』『フラッシュバックメモリーズ 3D』等、ドキュメンタリーをコンスタントに発表。近年は『山田孝之の東京都北区赤羽』『このマンガがすごい!』といったテレビ番組を手がける。自身が暮らす東京の変貌と息子の生誕とを重ねた短編『その昔、ここら辺は東京と呼ばれていたらしい』は東京都現代美術館で行われた「東京アートミーティングⅥ “TOKYO”見せない都市を見せる」で上映された。
桂 英史 [メディア研究, 東京藝術大学大学院映像研究科教授]
東京藝術大学大学院映像研究科教授。専門はメディア研究、芸術実践論。せんだいメディアテーク(仙台市)やメディアセブン(川口市)など、国内外で新しい公共文化施設のプランニングに携わる。主な著作には、『インタラクティヴ・マインド』、『図書館建築の図像学』、『東京ディズニーランドの神話学』、『人間交際術 コミュニティ・デザインのための情報学入門』、『せんだいメディアテーク コンセプトブック』(共編著)、『先端芸術宣言』(共編著)などがあり、近刊予定として『表現のエチカ〜芸術の社会的な実践を考えるため(仮題)』(青弓社)がある。藝大大学院映像研究科が主催するノンディグリープログラム「RAM Association(旧称geidaiRAM2)」のプロデューサーを務める。