台湾ビエンナーレ『WILD RHIZOME』が開催されている国立台湾美術館を訪問しました。企画キュレーターの龔卓軍(ゴン・ジョジュン)氏により展覧会ツアーで会場をまわり、企画が立ち上がってから作品制作の実現までのキュレトリアルの過程について詳細な解説がありました。台湾の多様性をいかに表現するか、その困難さと現代社会の問題を通じて、台湾とは何か、民族、家族、自然をめぐる新しい視点と問いを共有する時間になりました。
台湾ビエンナーレ『WILD RHIZOME』が開催されている国立台湾美術館を訪問しました。企画キュレーターの龔卓軍(ゴン・ジョジュン)氏により展覧会ツアーで会場をまわり、企画が立ち上がってから作品制作の実現までのキュレトリアルの過程について詳細な解説がありました。台湾の多様性をいかに表現するか、その困難さと現代社会の問題を通じて、台湾とは何か、民族、家族、自然をめぐる新しい視点と問いを共有する時間になりました。
【参加者コメント】
小宮麻吏奈(アーティスト / 研修生2018)
「台北ビエンナーレと台湾ビエンナーレの違いについて。世界的に芸術祭のフォーマットが近似性を持っているとも言えるが、台北はヨーロッパの国際展、台湾は日本の芸術祭とフォーマットが近いように思えた。台湾ビエンナーレの綿密なリサーチや、原住民をめぐる問題への扱い方は希望がもてた。ゴンさんもそれまで意識していなかったと話していたが、台湾の人が原住民の問題をどの程度意識して暮らしているのかが気になった。また、ビエンナーレによってそういった弱者や消されたものたちの問題のアーカイブや歴史化が進むと良いと感じた。」
佐藤貴宏(研修生2018)
「西洋?では近年、社会的、政治的問題、また環境問題を人文、科学の各分野の研究者とアーティストが恊働、またそれぞれが美術館を使って発表していると聞いていたので実際どういった扱われ方をしているのか知りたいと思っていました。偶然にも今回訪れた2つの芸術祭が自然と人間の関係やその概念の問い直しをテーマにした展覧会だったので個人的には見れて良かったです。私の英語の語彙力不足で作品の背景の文脈まで読み取れないところが残念なところですが、台湾ビエンナーレの方はゴンさんにその作品の持つ批評性まで詳しく解説してもらったので理解が深まりました。しかし作品の自立性というところで観た場合、解説がない限り鑑賞者はありきたりな美術作品として見れてしまうようなことろもありました。QRコードで解説が聞けるようになっていたようですし、自立性が必須だとも思っていないのですが文脈を知らなければ勘違いされかねないという意味で何か仕掛けが必要なのかもしれないと思いました。またゴンさんが言っていたことで印象的だったのが、原住民の作るものは果たしていわゆる’’アート’’なのか。そういった問いを持ってキュレーションしていたことが意外でした。そういう意味では台北と比べて台湾ビエンナーレの方が美術館そのものへの問いとアートへの問いとテーマへの問いが台湾という立場で扱われていたように思います。そんな分かりやすい内容ではないと思いますが、地元の老若男女鑑賞者が熱心に観ていたのが印象的でした。言語理解優先の作品が多かったのであまり考えずに体験できるくだらない?ユーモアを含んだ作品が観たくなりました。」
【開催概要】
http://geidai-ram.jp/event/1523/
場所 : 国立台湾美術館(台中、台湾)
日時 : 2018年12月16日(日)
講師プロフィール:
龔卓軍(ゴン・ジョジュン)
国立台南藝術大学准教授。美術誌『Art Critique of Taiwan(ACT)』編集長。G.バシュラール、M.メルロー=ポンティ、C.G.ユングの中国語(繁体字)翻訳者。チーフキュレーターを務めた『近未来的交陪:2017蕭壠国際現代芸術祭』が、第16回台新芸術賞を受賞。
参考リンク:
台湾ビエンナーレ2018《 WILD RHIZOME 》
会期 : 2018年9月22日(土)-2019年2月10日(日)
キュレーター : 龔卓軍(ゴン・ジョジュン)、周郁齡(チョウ・ユーリン)
https://www.ntmofa.gov.tw/
主催:geidaiRAM2(東京藝術大学大学院映像研究科)
助成:平成30年度文化庁「大学における文化芸術推進事業」
協力:国立台湾美術館
企画:和田信太郎
運営:田中沙季・佐藤朋子
写真:澤本望
映像:村田萌菜