「RAM PRACTICE – ポストドキュメンタリーをめぐって」上映作品
 GUEST ARTIST 

佐藤未来《Retelling Yokohama》

《Retelling Yokohama》

第二次世界大戦後、日本を占領していたGHQのアメリカ軍兵士と横浜の娼婦の間に生まれた混血の赤ちゃん GIベイビー。貧困と差別により、娼婦たちは産んで間もない混血の赤ちゃんを、現在、観光地になっている元町の山手外国人墓地の入り口に放置。赤ちゃんは、すぐ隣駅にある根岸外国人墓地に移され、埋められた。その数、900体以上にものぼるという。赤ちゃんのために簡易的で小さな白い十字架が30cm間隔に数百と建てられていたというが、その十字架は朽ち果て、現在は一つも残っていない。異国情緒あふれる国際都市、とうたわれる此処、横浜。語られない存在とその物語は眠り、いま消えようとしている。
GIベイビーとして生まれ、生き延び、バンド GOLDEN CUPSなどで活躍するミュージシャンのルイズルイス加部とその娘:真麻をとらえ、横浜の隠された側面、戦争の周辺を描こうと試みた。アメリカが発行した1946年3月10日の星条旗新聞に、アメリカ軍相手の娼婦のほとんどが30代以上だと書かれた記事を見つけた。もっと若い女性は疎開し安全な場所にいたという理由からだ。現在30代である真麻に、娼婦だった彼女の祖母の存在を重ね、現在と過去の横浜を同時に語り直す。

(2019年, 9 min)

 

 

佐藤未来 [アーティスト]
1985年神奈川県生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。現在、東京藝術大学大学院映像研究科在籍。土地へのフィールドワークをベースに、そこに住む人々を起用してプロジェクトを立ち上げていく。映像、インスタレーション、パフォーマンス、ワークショップなどの様々なメディアを用い、歴史や文化の多様性・国家と個人の関係について再考しながら作品を展開する私たちの関心を再検討し、現在のグローバリズム社会における個人の多様性や社会の別の可能性と、そこに浮かび上がる問題を探索する。

 

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2019-02-13|