概要
メディアプロジェクトを構想し実践しよう!
東京藝術大学大学院映像研究科では、今年度よりノンディグリープログラムとして「メディアプロジェクトを構想する映像ドキュメンタリスト育成事業」(通称、geidaiRAM2: Research for Arts and Media-project)を実施するにあたり、2018年度研修生を募集します。
芸術の社会的な役割が問われているなかで、同時代芸術としての新たな問いを発見し、それをいかにして表現するためのプロジェクトとして実践していくか。その問いに対して、geidaiRAM2はアクチュアルな芸術実践の場を創出する機会を提供するプロジェクトです。従来のドキュメンタリーという表現のあり方を拡張させて、メタフィクションを前提とするポストドキュメンタリーの視点から、メディアプロジェクト(映像作品やインスタレーション作品など)としての表現形式を構想する映像ドキュメンタリストの育成を図ります。
geidaiRAM2に参加する研修生は、都市やアジア太平洋地域のリサーチ、フィールド・サーヴェイを基礎として、同時代の諸問題を扱う芸術的実践としての方法論を探究し、国内外の大学研究機関、芸術文化施設など芸術実践の現場と連携した学際的なプラットフォームとして、自らの研究や制作活動をより深めていくことをめざします。
開講予定のプログラム
研修生は以下にあげる、すべてのプログラムに参加することで、さまざまな知見と経験を得ながらセルフプロデュースと映像表現の向上を図ることができます。社会人で働きながらでも参加可能。スケジュールに合わせてご参加いただけます。各々の制作・研究に合わせてプログラムを選択できます。
メディア・スタディーズ
メディアや社会の仕組みやその特性を多角的に理解するレクチャーシリーズ(全5回:予定)
アートマネジメントを学ぶ環境整備が進む一方で、メディアや社会について多角的に学ぶことのできる実践的な場が求められています。変動しつづける世界を確実に捉えて応答するにはどうすればいいのか。研究者、弁護士、投資家、プロデューサー、アーキヴィスト等の専門家を招いて、芸術表現に従事する専門家に必要とされる社会的な問題意識を高めるレクチャーシリーズです。同時代の諸問題と向き合い、未踏のメディア表現を切り開く具体的な解決・実践方法について議論していきます。
【参加形式:講座、月1回程度開講予定(14時〜19時)】
テーマ開発
テーマを開発する技術と実現プロセスに着目する(全5回:予定)
より切実な問題意識を持った問いを立て、社会にプロジェクトとして投げかける有効なテーマの開発を目的として、アーティスト、演出家、映画監督、キュレーター、写真家、建築家等の芸術実践に取り組むプロパーによるレクチャー、プロパー同士の対話形式のディスカッションを企画運営し、テーマ開発する柔軟な能力や実現プロセスを実践的に学習していきます。議論の場はOPEN LECTUREとして一般公開し、同時代的な問題を深める場を提供します。
【参加形式:企画運営、OPEN LECTURE、月1回程度開催予定(18時〜21時)】
リサーチ・ラボ
調査研究/共同調査/活動報告/理論構築(月1回定期開催:予定)
都市やアジア太平洋地域及び、同時代芸術の先駆的な動向のリサーチを行い、研修生自らの活動がよりアクチュアルな実践の現場に接続できるように、リサーチ、ディスカッション、グループリーディングなどゼミナール形式で、調査研究と理論構築の経験と知見を高めていきます。地域文化研究、メディア芸術研究、物語研究、言語研究、都市研究、人類学、映像人類学の人文社会諸学に関する先行研究や文献から、ポストドキュメンタリーやメディアプロジェクトを学術的に支える理論についても再考していきます。またメンバーズセッションという枠組みで、研究生自らの活動紹介と、各自の問題意識や考え方を研修生及びスタッフ間で共有します。
【参加形式:ゼミナール、ラウンドテーブル、フォーラム、月1回程度開催予定(14時〜20時)】
フィールド・サーヴェイ
リサーチと記録の現場に立ち会う(プロジェクトごとに順次開催)
アジア太平洋地域の都市を主なフィールドとして、芸術的実践のための実地調査とドキュメンテーション制作を実践的に取り組みます。国内では、東京(国民国家及び難民問題)、仙台(東日本大震災後のアートプロジェクト)、長崎(近代日本のメディア史研究)、沖縄(東アシア圏の再考)などを予定し、国外では、シンガポールやマレーシア(メディア技術によるエデュテック実践)、台湾やハワイ(アジア太平洋地域研究)を計画しています。フィールド・サーヴェイ(現地調査)を共同実習として行いながら、実務的な方法や制作技術を修得していきます。
【参加形式:プロジェクトワーク、実地調査期間4日程度(1エリアあたり)、8月以降開催予定】
RAMプラクティス
現実や事実を再構成する手法を検討し、新たなモデルを構想する(成果発表2019年2月:予定)
メディアプロジェクトの実践をテーマとして、テーマ開発、リサーチ、フィールド・サーヴェイを重ねていき、具体的に最終的な発表形態を企画・構想しながら、制作プランを立て、研究や制作活動の成果を発表します。体系的なポートフォリオの作成や、研修生企画によるフォーラムディスカッション等を設けて自己評価を行いながら、最終的な成果物(映像作品やインスタレーション作品など)を構想していきます。成果発表は上映会あるいは展覧会を開催し、一般公開での講評会を実施します。
【成果発表:上映会、月2回程度開催予定(14時〜20時)】
事業プロデューサー
桂 英史(メディア研究・図書館情報学/東京藝術大学大学院映像研究科教授)
高山 明(演出家/東京藝術大学大学院映像研究科准教授)
gaidaiRAM(1期)活動紹介
geidaiRAM(1期)リサーチプロジェクトのための人材育成事業
活動紹介映像 2016年度
活動紹介映像 2015年度
活動紹介映像 2014年度