RAM企画
秋田・北前船・環日本海 リサーチプロジェクト「回回回 RIM Project」参加者募集

開催概要

東京藝術大学大学院映像研究科では、ノンディグリープログラムとして「インターメディア型プロジェクト・ベースド・ラーニング実践プログラム」(RAM Association)を実施しています。2022年度は、秋田・北前船・環日本海リサーチプロジェクト「回回回 RIM Project」を開講し、新たな芸術実践を探究する参加者(プロジェクトメンバー)を募集します。

RAM Associationではこれまでもアジアをテーマにして「長崎修学旅行ワークショップ」を行なってきました。今回の「回回回 RIM Project」では、歴史的地政学的にも緊張が高い「環日本海 Japan-Sea RIM」を起点にして、新しい芸術実践を構想するリサーチプロジェクトに取り組みます。「環日本海」を考えていく上で、近世から近代にかけて日本海を駆けめぐった「北前船(北廻り)」と呼ばれる海上物流ルートをリサーチの手がかりにしていきます。「回回回」を(ぐるり)と呼称し、「北前船」という海域がつくる一つの文化圏があった時代に遡ることで、船の往来が生活・文化・社会・経済をどのように形づくってきたか、アジアの交流や交易を考察していくためにも「海洋のインタラクション」に着目することで「環日本海」を探究していきます。

今年度は北前船の航路で帰港地でもあった「秋田」を拠点にして、𡈽方大さんを共同ディレクターに迎え、オンラインでのリサーチや勉強会に取り組み、2月3月には秋田県でのフィールドサーヴェイを実施予定です。本プロジェクトは参加者自身が問いを見出し、社会に投企するプロジェクトを起こしていく中で、自らの学びを深めていく「プロジェクト・ベースド・ラーニング」と呼ばれるプログラムです。ここ数年、劇的に社会構造や生活環境といった私たちを基礎づけているあらゆることが再考されている現代において、自らの活動をアクチュアルに拡げていきたい方のご応募をお待ちしています。

※2021年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、これまでの研修生募集から変更してプロジェクトごとに参加者を募集しています。

ディレクター・ノート

地図をぐるりと回して、ユーラシア大陸を下に、日本列島が上にした「環日本海・東アジア諸国図(逆さ地図)」というものがあります。見慣れた日本列島や日本海の形が向きを変えることによってどう見えるのか。また大陸側はどの様に見えるのか。コロナ禍で人と物の流れについて改めて考える中、地方や辺境でもコロナに感染し、世界中の隅々までさまざまな「路」を通って人や物が流れてくるという現状を改めてこの数年目の当たりにしました。現在の様なインターネットで注文した商品が翌日配達されるようなインフラの整った物流になる一昔前の江戸時代から明治時代。日本海側の地域では北前船という船が北海道から大阪まで繋ぎ、人や物を運んでさまざまな港が発展しました。そのうちの一つが秋田でした。海を通じて人や物が運ばれてきていたそんな秋田で移動について考える合宿を開催いたします。また、合宿の前には北前船についての読書会を行いますのでそちらも是非ご参加ください。(𡈽方大)    

募集要項

▼ 参加対象者

・ 日本語でのコミュニケーションが可能な方
・ZOOMを利用したオンラインでの参加が可能な方
・アジア圏、環日本海地域のリサーチに興味がある方
・作品やアートプロジェクトの制作を学びたい方
・制作におけるアーカイヴ調査、実地調査(フィールドサーヴェイ)に関心のある方
・同時代の芸術表現を実践的に問い直そうとする、アーティスト、演出家、映像作家、プロデューサー、キュレーター、研究者、エンジニア、建築家、編集者、プロジェクトマネージャーなど
・学生は、博士課程在籍/東京藝術大学大学院・秋田公立美術大学大学院の修士課程在籍の方のみ応募可(ただし応相談)

実施期間・1/9 (月祝) 19:30 – 21:00(延長の可能性あり)
オンライン説明会&輪読会①
・1/21 (土) 時間未定
オンライン輪読会②
・2/15 (水) – 2/17 (金)
秋田フィールドサーヴェイ①
・3/9 (木) – 12 (日)
秋田フィールドサーヴェイ②
※ 全日程への参加を申し込みの必須条件にはしておりませんが、
1/9 (月祝) のオンライン説明会には可能な限りご参加ください。
実施方法・オンラインでの輪読会
・秋田でのフィールドサーヴェイ
定員10名程度
参加費無料
※実地調査に関する費用(旅費・宿泊費など)、制作費はご負担ください。
募集期間2023年1月3日(火)~1月8日(日)
応募方法応募フォームに必要事項を記入し送信してください。
https://forms.gle/gS3AAqvpoiTXapaY6
【申込み締切:1月8日(日) 23:59 JST】
選考応募者多数の場合は、事務局による選考となります。選考を行う場合、詳細は説明会にてご連絡いたします。
問合せgeidairam@gmail.com

|共同ディレクター|


𡈽方 大(ひじかた だい)[アーティスト、インストーラー]
1989年愛知県生まれ。2011年金沢美術工芸大学美術科彫刻専攻卒業。
展覧会の企画やディレクション、コーディネート、インストール、アーカイブなどに携わりながら、現在は秋田を拠点に育児奮闘中。主な活動として「タイムライン」(2019/京都大学総合博物館/京都/企画出品)や「向三軒両隣」(2017-/秋田/ディレクター)、「クロニクル、クロニクル!」(2016-2017/CCO/大阪/ディレクター)、「虹の麓」(2014/市民ギャラリー矢田/名古屋/企画出品)などがある。

|プロジェクトメンター|


青柳菜摘(あおやぎ なつみ)[アーティスト/RAMフェロー]
1990年東京都生まれ。ある虫や身近な人、植物、景観に至るまであらゆるものの成長過程を観察する上で、記録メディアや固有の媒体に捉われずにいかに表現することが可能か。リサーチやフィールドワークを重ねながら、作者である自身の見ているものがそのまま表れているように経験させる手段と、観客がその不可能性に気づくことを主題として取り組んでいる。 2016年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。近年の活動に「亡船記」(十和田市現代美術館サテライト会場 space、2022)、第10回恵比寿映像祭(東京都写真美術館、2018)、《TWO PRIVATE ROOMS-往復朗読》(オンライン・プロジェクト、2020–)など。また書籍に小説「フジミ楼蜂」(『ことばと』vol. 3、書肆侃侃房、2021)、詩集『そだつのをやめる』(2022)がある。プラクティショナー・コレクティヴであるコ本や honkbooks主宰。「だつお」というアーティスト名でも活動。
http://www.datsuo.com


佐藤朋子(さとう ともこ)[アーティスト/RAMフェロー]
1990年長野県生まれ。2018年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。レクチャーの形式を用いた「語り」の芸術実践を行っている。近年の活動に、オンライン・プロジェクト《TWO PRIVATE ROOMS-往復朗読》(青柳菜摘と共同、2020年〜)、「第14回恵比寿映像祭:スペクタクル後 AFTER THE SPECTACLE」(東京都写真美術館、2022年)出品、「公開制作vol.2 佐藤朋子 狐・鶴・馬」(長野県立美術館、2022年)など。また、シアターコモンズにて東京をフィールドに展開するプロジェクト『オバケ東京のためのインデックス』に2021年より
取り組んでいる。
http://tomokosato.info/


田郷美沙子[アーティスト]
1993年生まれ、神奈川県在住。筑波大学総合造形領域卒業。東京藝術大学大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専攻修了。同大学大学院映像研究科メディア映像専攻の研究助手を勤める。「長崎修学旅行ワークショップ」(2021-22)にてプロジェクトマネージャーを担当する。


企画|RAM Association、𡈽方 大
プロジェクトメンター|青柳菜摘、佐藤朋子、田郷美沙子
現地コーディネーター|山本夏綺、室津日向子
制作統括|中島百合絵
監修|和田信太郎

主催|東京藝術大学大学院映像研究科 RAM Association
助成|令和4年度 文化庁「大学における文化芸術推進事業」