写真:三野新
青柳菜摘は、作品「家の友のための暦物語」を発表しました。青柳は、ヘーベル「ライン地方の家の友」とブレヒト「暦物語」の2つの暦物語を受け、14篇の物語を書き、物語のタイトル末尾にそれぞれ背景を持つ年代を付記しました。本作は、14篇の物語の朗読と風景による映像作品です。
ヘーベルは19世紀に「ライン地方の家の友」という庶民のための暦を編集し、遠い歴史的な出来事や、庶民の日常生活を描く物語を添えました。物語には「家の友」が出てくるが、彼は誰とも話さず、どこかに立ち、観察をしています。20世紀になって、暦物語という形式にならってブレヒトは「暦物語」を発行しました。この中にも「コイナーさん」として、世の中の偏屈な人物の物語が何篇か描かれています。
ヘーベルやブレヒトがその時代においての暦物語、そして家の友やコイナー(Keuner)さんを登場させたように、現代の暦物語を立ち表せます。
プロフィール:
青柳 菜摘[RAM2フェロー/アーティスト]
1990年東京都生まれ。ある虫や身近な人、植物、景観に至るまであらゆるものの成長過程を観察する上で、記録メディアや固有の媒体に捉われずにいかに表現することが可能か。リサーチやフィールドワークを重ねながら、作者である自身の見ているものがそのまま表れているように経験させる手段と、観者がその不可能性に気づくことを主題として取り組んでいる。
近年の活動に「孵化日記 2011,2014-2016」 (NTTインターコミュニケーション・センター [ICC], 2016)、第10回 恵比寿映像祭 インヴィジブル(東京都写真美術館, 2018)など。「だつお」というアーティスト名でも活動。
場所:
SCOOL(東京)
日時:
2018年8月2日(木)-8月8日(水)
参考リンク:
Gallery SCOOL Vol.1 ものかたりのまえとあと
http://scool.jp/event/20180802/