東京藝術大学大学院映像研究科・東京藝術大学附属図書館、コ本や honkbooksの共同企画として、2019年9月6日(金)から8日(日)までの3日間にわたり《GEIDAI BIBLIOSCAPE 2019》を開催しました。
メインイベントでもある「オブジェとしての本」展では、総勢31組のアーティストたちが展示やパフォーマンス、ワークショップなどさまざまな形で発表しました。RAM Associationからは研修生、インターン、フェロー、事務局スタッフも展覧会に参加し、「本とは何か」という思索を芸術表現によって試みました。三日間の会期中、3,000人以上の来場者が訪れ、図書館という場を創造的な活動のプラットフォームとすることで、本をめぐる新たな発見の機会となりました。
オル太(アーティスト・コレクティブ)によるワークショップ「Daily Drawing, Daily Page vol.29」では一冊の本をめぐって、参加者が順に朗読しあい、同時にその言葉を手がかりにドローイングを描いていきました。今回の朗読本は土方巽の『病める舞姫』で、図書館前の外廊下にシートとベニヤ、紙を敷き、紙の上で粘土と木炭を用いて、手と足でドローイングを行いました。研修生のみならず、来場者や藝大図書館のスタッフも朗読・ドローイングに参加し、その成果は《GEIDAI BIBLIOSCAPE 2019》の2日目以降にも図書館内に展示されました。
屋上(メディアチーム)によるワークショップ、「ライブ・ブック・メイキング 土着料理保存のためのスタディ」では、「レシピ未満のレシピ本」=疲れているときに手癖で作ったり、元気を出すために少々強引な配分で作ってしまったりする、わざわざレシピとして公開されてこなかった、その人によるその人のための料理について、インタビューと編集、手製本、出版を行うというものでした。メディアを自分たちの手でつくることや、そのプロセスに直接触れられる場・機会を提供することにフォーカスし、一日限りの本工場を立ち上げ、来場者に、インタビューからから製本までの、本を手作りする流れを示しました。
ワークショップ 「「オブジェとしての本」をオブジェでつくる」は、書物との触れあい方や関わり方について、自分たちの身体をつかって体験し思考するワークショップでした。葉や樹皮、粘土に文字を刻み、最古の書物とそこに載せる文字について考えを巡らせました。
また、ワークショップ「 「本を読むオブジェとしての身体」をつくる」 では、講師にカニエ・ナハ(詩人)と大園康司(ダンサー)を招き、本を読む身体のオブジェ化を展示空間内で試みました。実際に展示作品を「読む」ことを試み、一般来場者も巻き込みながら、そこに書かれた文字や作品の様子を声に出していきます。これらのワークショップは、作品とその受容者の間にただ鑑賞するだけではない新たなコミュニケーションをもたらし、展示に参加したメンバーにとっても貴重なフィードバックを得る機会となりました。
【開催概要】
日時 : 2019年2019年9月6日[金]- 8日[金]
会場 : 東京藝術大学附属図書館B棟
主催 : 東京藝術大学大学院映像研究科(RAM Association)
共同企画:東京藝術大学附属図書館, コ本や honkbooks
助成 : 2019年度文化庁「大学における文化芸術推進事業」
監修:桂英史
企画:和田信太郎
運営:澤本望, 西本健吾, 村田萌菜
運営補佐:平井亨季, 小林舞衣
広報:澤本望, 西山有子
記録:澤本望, 西本健吾, 村田萌菜, 倉谷卓, シェレンバウム・ゾエ, ジョイス・ラム
デザイン:大里淳