《RAM PRACTICE 2021》ONLINE SCREENING

PROGRAM A

地主麻衣子佐藤貴宏李和晋田村友一郎Akari Yasuda-Akiki

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地主麻衣子《 メキシコシティの探偵 》

(6min, HD, 2020)

『メキシコシティの探偵』は、小説家ロベルト・ボラーニョの詩を題材にしている。自分のもとを去った恋人に対する未練が書かれている詩の内容から着想を得て、ボラーニョが当時住んでいたメキシコシティにいる友人に、スマートフォンで街を歩くカップルを隠し撮りしてもらった。いわば友達に探偵になってもらい、メキシコシティにいる「失われた恋人たち」を探してもらったのだ。それからしばらくして、実際に私もメキシコシティに行き、探偵が恋人たちを隠し撮りした場所を探し出し、同じ構図で撮影した。スマートフォンの縦画面とヴィデオカメラの横画面のあいだには時間の隔たりがある。季節は変わり、街に貼られたポスターも変わり、もちろん恋人たちはもうそこにはいなかった。

監督:地主麻衣子/ Neme Arranz Ruizとのコラボレーション/ テクスト:Roberto Bolaño「電動まぶたの世代/アイルランド女No.2 サンヒネス星座」(抜粋)/ 朗読:Christian Peña/ 撮影:Neme Arranz Ruiz、地主麻衣子/ 整音:黄永昌/ 日本語翻訳:柳原孝敦/ 英語翻訳:Neme Arranz Ruiz


佐藤貴宏《 THE FUNNY HOUSE IS GONE 》

(8min, HD, 2021)

リサイクルショップはマルク・オジェがいうように「非ー場所」である。その消費空間で私たちは仮染めの選択と所有の自由とアイデンティティを獲得することができる。だが骨董とは異なる2次、3次消費物はフェティッシュを生むことは難しい。消費されない物たちの存在は恐ろしくもある。強奪や異質性の恐怖というより、無欲や同質性による恐怖。ならばリサイクルショップでホラーについて考えることも可能かもしれない。登場する亡霊の存在、おそらくその中のひとりは私たちである。


李和晋《 イメージをさがして 》

(7min, HD, 2020-2021)

顔も名前も知らなかった母親の面影を家族写真の中に探すある男/女の語りに、在日韓国人である私自身のルーツ探しが重ねられている。時に、映像に映る些細な身振りや状況が鑑賞者の想像力によって新たな意味を生じさせ、語りの主語を撹拌する。虚実のどちらにも振り切らない宙吊りの映像世界に映る不在に、自身のルーツを見い出すための試み。


田村友一郎《 MJ 》

(12min, HD, 2019)

映像の世紀とも称される20世紀を代表するポップアイコン、マイケル・ジャクソンが東京の赤羽にある児童養護施設を訪ねたエピソードを起点として展開する映像作品。通算8度目の来日となった2006 年、児童養護施設の訪問に帯同していたTVカメラにマイケルが最初に語ったのはこのような言葉である。Please document everything, action, reaction, cause and effect, them to me, me to them(=すべてを記録してほしい、行為と反応、始まりと終わりの因果、そして彼らから見た僕と僕から見た彼らも).マイケルが放った神託ともとれるこの言葉の真意とはいったい何か。


Akari Yasuda-Akiki《 9,000スクエアフィート 》

(12min, HD, 2021)

18世紀末、イギリス産業革命真っ只中のロンドン郊外、テムズ川沿いのキングストン・ハイストリートに住んでいたセザー・ピクトン。子供の頃セネガルから黒人奴隷貿易船で連れてこられフィリップス卿の召使いをして育ったが、独立し石炭卸業で成功し裕福になる時に住んでいた家がある。散歩中にこの白い家を見つけた地元男性は、見つけた番号に電話をかける。2020年、人との接触が制限されるなか、200年前の人物と場所を通じて接触しようとする試み。 


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