RAM PRACTICE 2023[SCREENING & ROUND TABLE]上映作品
TIME TABLE (作家名クリックで作品詳細へ飛べます)
■ 13:00〜
岡江真一郎/佐藤朋子/井上亜美/笹原晃平/佐藤未来/荒木 悠
■ 15:00〜
吉開菜央/ 伊阪 柊 + Benjamin Efrati/小林 椋/田村友一郎/おおしまたくろう
■ 16:30〜
布施琳太郎/潘 逸舟/青柳菜摘/飯岡幸子
■ 17:40〜
林 勇気/トモトシ/長田雛子/玄 宇民
岡江真一郎《夜明けの将軍》(2022年 / 8min30s)
平安時代の武将の一人である木曽義仲の一生を紹介するアニメーション音楽作品。源平合戦を軸にして凝縮、超訳した歴史の流れや、あまり知られていない義仲に関連する人物、史実や伝承、物語や伝説をアニメーションと歌に盛り込みながら木曽義仲の隆盛を描いている。長野県木曽町『義仲館(YOSHINAKA MUSEUM)』 展示作品。
【 プロフィール 】
岡江真一郎(アニメーション作家):1985年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、東京藝術大学大学院映像研究科修了。アニメーションと音楽によって、日常の中の違和感や民話を基にした作品制作を行なっている。「にせ〜擬態のテーマ〜」(Eテレ、シャキーン!)、「雨とココナッツ」(テレビ東京、シナぷしゅ)といった教育番組コンテンツでの活動や、団体鑑賞用ビデオ「さくひんのミカタ?」(第24回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品)など幅広く活動中。WEB Twitter
佐藤朋子《Song of the Fox, August 2022 Version》(2022年 / 38min)
2018年より継続中の、キツネの伝説「信太妻」をレクチャーパフォーマンスで語り直すプロジェクト。岡倉覚三(天心)は、1913 年ボストンで、「信太妻」を原作に「The White Fox」というオペラの台本を書き上げるが、未完に終わる。「The White Fox」と、もう一つのオペラの台本の存在、また、現在のキツネの状況との関連性などを解説しながら、劇中のキツネの歌の重要性を検証し、キツネがかつて担っていたものや、キツネがいなくなった現在と私たちを再考する。(旧題:しろきつね、隠された歌)
【 プロフィール 】
佐藤朋子(アーティスト):1990年長野県生まれ。2018年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。レクチャーの形式を用いた「語り」の芸術実践を行っている。近年の活動に、オンラインプロジェクト〈往復朗読〉(青柳菜摘と共同、2020-)、オバケ東京のためのインデックス』(シアターコモンズ、2021-)第14回恵比寿映像祭「スペクタクル後 AFTER THE SPECTACLE」(東京都写真美術館、2022)出品、「公開制作vol.2 佐藤朋子 狐・鶴・馬」(長野県立美術館、2022)。WEB
井上亜美《じいちゃんとわたしの共通言語》(2016年 / 3m45s)
故郷である宮城県丸森町では、3.11以降、猪が食べられなくなった。50年以上猟をしていた祖父は、狩猟をやめてしまった。そのことがどこか引っ掛かっていた2015年、自分も狩猟免許を取り、祖父と山の話をするようになった。
井上亜美《イノブタ・イーハトーヴ》(2016年 / 5m36s)
私の故郷から50kmほどの原発周辺では、家畜のブタと野生のイノシシが交配して「イノブタ」が生まれているらしい。子どもたちの描いたイノシシは、まだ見たことのないイノブタのすがたを連想させる。彼らはこの世界をどんなふうに生きていくだろうか。私は故郷を後にし、草原で駆け回るイノブタのすがたを想像した。
【 プロフィール 】
井上亜美(アーティスト、猟師、養蜂家):1991年宮城県生まれ。2016年東京藝術大学大学院映像研究科修了。京都の山里に移り住み、狩猟や養蜂を通して生き物と人間との関係性や距離感を捉え、写真や映像、インスタレーションなどの手法で表現する。主な展覧会に「The Garden」(2023年、京都芸術センター)、「第21回シドニービエンナーレ」(2018年、オーストラリア)、「コンニチハ技術トシテノ美術」(2017年、せんだいメディアテーク)。WEB
笹原晃平《Anaba & Kataba》(2015年 / 15m45s)
六甲ミーツアート2015出品作である本作は「六甲山から吹き下ろす季節風の『六甲おろし』が、実は数千年の昔から六甲山頂でつくられている人工物である」という架空の物語をもとに制作された。展示においては、六甲カンツリーハウス内にモキュメンタリー映像を投影し、さらに六甲山頂各所に「逆さ石」と名付けた小さな石碑を7箇所設置された。これらの石碑は物語の重要な役割を担いつつ、鑑賞者が暗がりの上映空間を出た後も、六甲山の明るい大自然の中で映像作品の継続体験ができるように促すものであった。映像内外の虚実を行き来する「半虚構(ハンフィクション)」という在り方を本作は明示している。
【 プロフィール 】
笹原晃平(アーティスト):1984年東京都出⾝。東京藝術⼤学美術学部先端芸術表現科卒業。周辺環境への取材とその場の関係性の構築から出発し、インスタレーション作品を発表する。表現メディアに固執せず、様々な⽅法論で制作を⾏う⼀⽅、⼀貫して「⼈間の⽣活」を探求することにより、美術のみならず⼈類学や建築学などの総合的な分野への接続を試みる。2007 年《Home and Away》により川俣正賞を受賞。国内外でのプロジェクト多数。WEB Twitter Instagram
佐藤未来《Book and Knife》(2021年 / 15m22s)
遠く離れた三つの国、スリナム共和国、インドネシア、オランダを巡る植民地と奴隷の歴史、そしてスープ。1902年から1967年にかけて出版された三冊の料理本を通して、食文化、政治、フェミニズム、それらがどのように相互に関連しているかを描いた作品。三人の女性とロッテルダムのスリナム料理屋 ワルン・ミニが、ソト(Soto)/サオト(Saoto)スープを調理する。
【 プロフィール 】
佐藤未来(アーティスト):日本とオランダを拠点に研究、制作を行う。 さまざまな場所のフィールドワークをベースに、そこに住む人々を起用してプロジェクトを立ち上げていく。2019年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。 現在は同大学院 後期博士課程映像研究科に在籍。主な個展に2020年「Girls Got Golds」 puntWG(アムステルダム)、主な上映に2023年ロッテルダム国際映画祭など。WEB Instagram Facebook
荒木 悠《tempo》(2022年 / 20m)
舞台は京都府南丹市八木町にあった小さな野菜市。2021年に私はこの店内で映像作品『蜥蜴と蜘蛛』を展示し、その展示記録映像を撮影している過程で、ふと、作品よりもお店番をされている人物・八木悟さんにレンズを向けたことが本作のキッカケとなりました。八木さんは、八木町で生まれ育ち、2006年に南丹市として合併されるまでこの町の町会議員を務められた農家さんです。台本は一切ありません。題名の《tempo》には、スローテンポを意味するだけでなく、「店舗」と二重の意味を込めました。八木町に流れる時間と、現在は閉店してしまったこのお店の最後の秋を、八木さんを通して静かに捉えた実験的展示記録映画です。
【 プロフィール 】
荒木 悠(アーティスト、映画監督):メディア映像専攻三期生。日英の通訳業を挫折後、誤訳に着目した制作を始める。言語や記号における意味の二重性、またその差異を捉える術として映像表現を探求している。2018年、オランダのライクスアカデミーゲスト・レジデント。フューチャージェネレーション・アートプライズ2019ファイナリスト。恵比寿映像祭2023ではコミッション・プロジェクトが特別賞を受賞(3月26日迄公開中)。現在、京都市在住。WEB Instagram BFMAF YEBIZO
吉開菜央《Wheel Music》(2019年 / 14m)
音がするということは、そこに命があるということだ。 この世の全ての尊いノイズを繋ぎ合わせた、ハミングのような日記映画。
【 プロフィール 】
吉開菜央(映画作家、ダンサー、振付家):1987年山口県生まれ。日本女子体育大学舞踊学専攻卒業、東京藝術大学大学院映像研究科修了。画、音、(ときどき言葉)を振り付けて、映画を通して得られる感覚そのものが踊りだと感じて、制作している。監督した主な映画は『Shari』(ロッテルダム国際映画祭2022公式選出)『Grand Bouquet』(カンヌ国際映画祭監督週間2019正式招待)『ほったまるびより』(文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門新人賞受賞)。)WEB Instagram
伊阪 柊 + Benjamin Efrati 《Intersection Of Universes 「複宇宙の交差点」アーカイブ – “Muonic Jura” – 》(2021年 / 9m)
Intersection Of Universes 「複宇宙の交差点」は、伊阪柊とBenjamin Efrati による、哲学、考古学、地理学、宗教学、ゲーム、映画、音楽が交わるアートプロジェクト。2019年末、中国重慶において実施される計画だったが、同時発生したCovid19の影響により計画が変動、2021年にフランスのジュラとブルターニュで行われた。ジュネーブにあるCERNでの衝突実験から放たれた素粒子ミューオンのジュラ山脈の環境への仮想的影響を、脳波センサーとVRを用いたゲーム制作によって捉えようとする「サイバーシャーマニズム」の実践を試みた。2023年に再び重慶での実施を予定。
【 プロフィール 】
伊阪 柊(アーティスト):技術環境が作り出す惑星環境への認識と、同時に作り出される非知の領域拡大に着目し、映像制作、展示、企画等を行う。東京芸術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了し、同大学院美術研究科博士課程修了。WEB Instagram
Benjamin Efrati (アーティスト):多様なメディアを用いた表現や、理論構築、ビデオゲーム等を通して、言語と想像力について学際的な考察を展開する。リヨン大学哲学学士、ボザールを経て、社会科学高等研究院の博士課程に在籍し、ビデオゲームにおける先史時代の表現についての研究を行っている。WEB Instagram
小林 椋《スゥと数えるように湿っぽい佇まいは、スゥと巻かれる音として砕ける前に、スゥと囲いまで敷きつめているようで》(2023年 / 18m50s)
歩くということは、その人の身体の構造や動かし方がありふれたかたちで現れてくる行為だと言える。それは身体のスタイルであり、つまるところ文体のようなものとして考えることもできる。バルザックは「歩き方の理論」で、歩き方の観察をもとに、人々の性格やその背後にある生活までも読み解こうとした。それらは今でこそ眉唾ものの擬似科学だが、当時は理論であり科学的なものであっただろう。バルザックは「運動」には「思考」が含まれていると考え、「言葉」は「思考」を表現したものであるとした。そして「歩き方や身振り」が「言葉」を動的に実現するのだと。歩きながら発話するということから、文をつくる。その練習のための装置の記録。
【 プロフィール 】
小林 椋(美術家):1992年生まれ。京都府を拠点に活動。ある事柄や歴史的な出来事に対して、物理的な装置やオブジェを介入させることで生まれる飛躍、不和や違和感を観察しながら、別様な姿を思弁するための作品を制作する。近年の展覧会に「亀はニェフスのイゥユのように前足を石にのばすと」(TOKAS本郷, 2022)、「ヌー・フォー・フィーヌ・フェニ・ファー」(N神田社宅, 2022)など。時里充とのユニット「正直」でも活動。WEB
田村友一郎《舎密/The Story of C》(2020年 / 12m52s)
記憶にも新しい2020年に横浜にやってきたダイヤモンド・プリンセス号は、21年前の10月1日に長崎の造船所で建造中に火災に見舞われる。その結果、同時に建造されていた姉妹船のサファイア・プリンセス号がダイヤモンドに、ダイヤモンド・プリンセス号は修繕を経てサファイアへと入れ替わる。このダイヤモンドとサファイアをめぐるエピソードを起点とした”C”を巡るストーリーが4幕構造の作品《舎密/The Story of C》であり、2020年の横浜トリエンナーレ開催時にオンラインと横浜美術館で展開した。本作は第1幕から第4幕のダイジェスト映像となる。
【 プロフィール 】
田村友一郎(現代アーティスト):1977年富山県生まれ。京都府拠点。既存のイメージやオブジェクトを起点に、写真、映像、インスタレーション、パフォーマンス、舞台まで多彩なメディアを横断し、土地固有の歴史的主題から身近な大衆的主題まで、幅広い着想源から現実と虚構を交差させた多層的な物語を構築する。それによりオリジナルの歴史や記憶には新たな解釈が付与され、作品は時空を超えて現代的な意味を問う。近年の主な個展に「Milky Mountain/裏返りの山」Govett-Brewster Art Gallery(2019年、ニュープリマス、ニュージーランド)、「叫び声/Hell Scream」京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(2018年)。国際展の参加は国際芸術祭「あいち2022」、ヨコハマトリエンナーレ2020、2019アジア・アート・ビエンナーレ(台中、台湾)、釜山ビエンナーレ2018(韓国)、SeMAビエンナーレ・メディアシティ・ソウル2014(韓国)など。Instagram
おおしまたくろう《【滑琴の演走】 Baika, Konohana Ward, Osaka City, Osaka, December 6th, 2019 / Slide Guitar no.3 “Surveyor”》(2019年 / 11m1s)
滑琴(かっきん)はスケートボードの裏にエレキギターの部品を取り付けた創作楽器である。通常のギターが体で抱えて弦を指で弾くことで発音するのに対し、滑琴はスケートボードのように上に乗って走行することで路面の凹凸により弦を振動させて発音する。またカーブを曲がる際の体重移動による弦の張力の変化によって音高を操作できる。滑琴は全く新しい構造を持つ楽器であり、街のカタチを楽譜に見立てて演奏できる。
滑琴に乗って街を演奏することを「演走(えんそう)」と名付け、各地で滑琴の演走経路を作曲して「ルート譜」として記録してきた。本作は大阪市此花区のルート譜を演走した記録映像である。
【 プロフィール 】
おおしまたくろう(サウンドマン):身近な道具や出来事を素材にした自作楽器の制作と、それらを組み合わせた少し不思議なパフォーマンスを行う。音楽や楽器の名を借りた遊びやユーモアによって人々をマッサージすることを目指す。近作に、車のウィンカーのタイミングのズレを利用したグルーヴマシーン「NB-606」、魂柱を失ったバイオリンを昆虫として蘇らせる「Violinsect」。音の実験ワークショップ「SOUNDやろうぜ」主宰。WEB
布施琳太郎《名前たちのキス / When to Kiss Names》(2021年 / 20m)
本作は、コロナ禍以降の日本で急激に利用者が増えたマッチングアプリについてのリサーチに基づいた映像作品です。隙間をすり抜けて広がる感染症に対して、インターネットを介して、都市のなかに複数の密室が育まれていったのです。
まず一遍の詩を執筆しました。 それは、電子回路における正極と負極の名称である「アノード」と「カソード」を登場人物の名前として、ネットワーク越しの出会いをメタファライズした物語です。 名前を知らない誰かと、名前を知らないまま関係を持つことは、これまでの恋愛とどのように違うのでしょうか。そこで育まれたエネルギー、こぼれ落ちた光、入れ替わり続ける正と負を詩を通じて映像化しました。
【 プロフィール 】
布施琳太郎(アーティスト):iPhone発売以降の都市で失われた「孤独」や「二人であること」の回復を試みて、絵画や映像作品、ウェブサイトの制作、展覧会の企画、詩や批評の執筆などを実践。主な展覧会企画に「惑星ザムザ」(2022/小高製本工業跡地)、「隔離式濃厚接触室」(2020/ウェブサイト)、主な個展に「新しい死体」(2022/PARCO MUSEUM TOKYO)など。現在は連続講義「ラブレターの書き方」を開講中。WEB
潘 逸舟《海で考える人》(2021年 / 10m7s)
この作品はあまり説明なしで見てもらった方がいいと考えています。
海で考える人を再編集し、考える人のポーズだけでなく、人間が漂う姿そのものも同時に映し出しています。
【 プロフィール 】
潘 逸舟(美術家):1987年上海生まれ、東京在住。自らの身体を軸に、土地と人間の関係性を巡る作品を発表し、共同体や個が介在する同一性と他者性について考察してきた。近年の主な展覧会に「国際芸術祭あいち 2022」(愛知、2022 年)、「ぎこちない会話への対応策―第三波フェミニズムの視点で」(金沢 21 世紀美術館、2021 年)などがある。2020 年日産アートアワードグランプリ受賞。WEB
青柳菜摘《孵化日記 第一話》(2015年 / 9m)
〈孵化日記〉は、2011 年から継続しているメタドキュメンタリーのシリーズである。ある蝶の幼虫を探し求めながら自然に向き合うことを通して、生まれてから東京にずっと住む「自分」と、気づかずに見過ごしていた「自然」との関係性をヴィジュアルとナラティヴによって露見していく。リサーチやフィールドワークを通して、その時々の「自分」を介在させながら、映像におけるドキュメントを脱構築しようと試みた。本作では「放蝶ゲリラ」を原因として広まった、中国からの外来種「アカボシゴマダラチョウ」 の幼虫を見つけ出し育てることと、その過程での生と死、妹の成長を並列することで、日常の延長にある記録を扱う。
【 プロフィール 】
青柳菜摘(アーティスト):1990年生まれ。アーティスト。2016年東京藝術大学大学院修了。コ本や honkbooks主宰。近年の活動に個展「亡船記」(十和田市現代美術館, 2022)、NMWA日本委員会主催展覧会「New Worlds」(2022)、オンラインプロジェクト〈往復朗読〉(2020-継続中)、第10回 恵比寿映像祭(東京都写真美術館, 2018)、詩集『そだつのをやめる』(2022)第28回中原中也賞受賞、詩集『家で待つ君のための暦物語』(2021)第1回西脇順三郎賞最終候補など。WEB
飯岡幸子《ヒノサト》(2002年 / 42m)
祖父が一人で手作りし一度だけ回してその音を確かめ出征したという古い蓄音機の物語をきっかけに、監督は画家であった祖父の残した絵を辿って日の里の町を歩き始める。静かに映し出される町の風景。絵。そして挿入される小さな文字。画家のアトリエに光が射し込む時、流れる三つの時間がにわかに接近する。
【 プロフィール 】
飯岡幸子(映像作家、撮影監督):東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻修了。 監督作品に『ヒノサト』、撮影を担当した作品に、杉田協士監督『春原さんのうた』、濱口竜介監督『偶然と想像』など。清原惟監督『すべての夜を思いだす』が2023年公開予定。
林 勇気《Our shadows》(2022年 / 15m30s)
本作品は2022年に北加賀屋のクリエイティブセンター大阪(CCO)で開催した個展「君はいつだって世界の入り口を探していた」に出品した作品です。合計9作品、約30の映像で構成された個展で、その導入となる作品でした。北加賀屋近辺がロケ地になっています。また、「「私」の経験した出来事を演者が演じ直し、それを撮影して制作した。双子のBと過ごした 1日を描いている。」(ハンドアウトより)というような内容とプロセスで制作しました。
【 プロフィール 】
林 勇気(映像作家):膨大な量の写真をコンピューターに取り込み、切り抜き重ね合わせることでアニメーションを制作している。自ら撮影した写真のほか、人々から提供された写真やインタビューを素材とした制作により、デジタル・メディアを介して行われるコミュニケーションや記憶のあり方を問い直す。 近年は他領域とのコラボレーションや、ワークショップを通しての作品制作を行い、映像が内包する拡張性や協働的な側面について模索している。WEB
トモトシ《パブリック・ゴール》(2022年 / 12m46s)
ガードレールの隙間など抜け道として使用されているような場所をテープで塞ぎ、それが誰かによってふたたび開通される瞬間を待ち続けました。街の綻びを正したい行政と、街を使い倒していく利用者をめぐるコミュニケーションの縮図でもあります。オリンピックを契機に再開発と浄化が行われていた東京に捧げます。
【 プロフィール 】
トモトシ(アーティスト):大学卒業後10年にわたり建築設計・都市計画に携わる。2014年より展覧会での発表を開始。「人の動きを変容させるアクション」をテーマに制作発表。主な展覧会に「Romantic Bomb」(TAV GALLERY、2022)、「ミッシング・サン(芸術競技2021)」(代々木TOH、2021)、「有酸素ナンパ」(埼玉県立近代美術館、2019)がある。WEB Instagram
長田雛子《ビデオの海を見つめて》(2017年 / 8m30s)
起床した直後に、見ていた夢の内容をビデオカメラに向かって話す、という形で夢日記を撮り続けていた。夢のイメージは、頭の中に映像として確かに存在した。自分が見たものについて、自身の語りによって説明する、または説明できない。そのような、夢と現実の間を往来する様子に編集を加えることで、言葉にできない上に、誰も見ることもできない夢の風景を改めて想像する。
【 プロフィール 】
長田雛子(アーティスト):1991年 秋田県出身。東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。「イメージ」というものをどのように形作るかを考え、映像を主軸に、独自の編集・構成の仕方で制作を行う。主な展示に「YOTSUYA BEDROOM」(2016/The Artcomplex Center of Tokyo)、「無・ねじらない」(2017/コ本や)、「シブカル祭。2017」(2017/GALLERY X BY PARCO)、「エアーシャワーアワー」(2018/横浜市民ギャラリー)、個展「ねむけ前」(2018/kanzan gallery)。WEB
玄 宇民《逃島記》(2021年 / 20m19s)
「島」と「逃げる」ことを主題に2018年より継続中のプロジェクト「逃島記(とうとうき)」。韓国の済州島で暮らした作者の祖母の物語および近年訪問を重ねた香港の離島を背景にした、想像上の旅人による「決して行われなかった旅」の記録。
【 プロフィール 】
玄 宇民(映像作家):1985年東京生まれ。生まれた地を離れた人々のありようと移動の記憶、マイグレーションをテーマに映像作品を制作。主な作品に『NO PLACE LIKE HOMELAND』(2011)、『OHAMANA』(2015)、『未完の旅路への旅』(2017)、『逃島記』(2019–2022) 。ソウル独立映画祭(韓国)、Taiwan International Video Art Exhibition(台湾)、韓国国立現代美術館「Young Korean Artists 2021」展、ソウル市立美術館などで作品展示・上映。東京大学文学部美学芸術学専修卒業。東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修士、同博士後期課程修了。WEB
TIME TABLE
RAM PRACTICE 2023[SCREENING & ROUND TABLE]
開催日=2023年3月18日[土 ]
東京藝術大学大学院映像研究科が主催するRAM Associationでは、「インターメディア型プロジェクト・ベースド・ラーニング実践プログラム」を実施しています。2014年度よりノンディグリー・プログラムとして始動し、創造性と社会性の新たな関係を確立すべく、「リサーチ=ベースド・アート」、「ポストドキュメンタリー」とこれまで3年ごとにテーマを設けて取り組んできました。自ら問いを見出し、プロジェクトを投企する、そうしたアクチュアルな芸術実践のアソシエーションを目指しています。
今年の《RAM PRACTICE 2023》では、同時代を映像メディアで表現するアーティストや映像作家をスクリーニング・プログラムで紹介し、ドキュメンタリー、アート・ドキュメンテーション、エッセイフィルム、映画、アニメーション、3DCG、パフォーマンス、レクチャーパフォーマンスなど、手法や主題も多岐にわたる作品を上映します。中には美術館やギャラリーの展示空間で発表してきた作品や、映像インスタレーションを改編した作品もあり、シングルチャンネルの上映環境ではじめて発表する作品もあります。
参加アーティストは、RAM Associationでプロジェクト実践を協働する「RAMフェロー」、また主催する大学院映像研究科メディア映像専攻が出身であり国内外で活躍する「修了生」、加えて今回は京都開催に合わせて関西を拠点に活動する「ゲスト・アーティスト」の合計19名で構成しています。20本を超える作品が一堂に会すというスクランブルな事態から、同時代芸術の創造性について議論を始めたいというのが今回の企画意図の一つでもありました。
上映プログラムの最後には、参加アーティストによるラウンドテーブルとして、RAMプロデューサーの桂英史教授も加わり、上映作品について語りあいながら同時代芸術をめぐるディスカッションを深めていきます。どうぞお気軽にご参加ください。
開催概要
日時 | 2023年3月18 日[土] 13:00-20:00(最終入場19:00) |
会場 | 京都市京セラ美術館 講演室[本館地下1階] 〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町124 https://kyotocity-kyocera.museum/access |
入場 | 無料/予約不要 |
参加作家 | 青柳菜摘 / 荒木 悠 / 飯岡幸子 / 伊阪 柊 / 井上亜美 / おおしまたくろう / 岡江真一郎 / 長田雛子 / 玄 宇民 / 小林 椋 / 笹原晃平 / 佐藤朋子 / 佐藤未来 / 田村友一郎 / トモトシ / 林 勇気 / 潘 逸舟 / 布施琳太郎 / 吉開菜央 ※50音順 |
主催 | 東京藝術大学大学院映像研究科 RAM Association |
助成 | 令和4年度文化庁「大学における文化芸術推進事業」 |
お問合せ | RAM Association事務局 geidairam@gmail.com |