VISIONS CIRCUIT 開催に寄せて
VISIONS
CIRCUITは、アートフィルム/実験映像を軸に、都市と都市、人と人、表現と思想を横断的につなぐ巡回型上映プロジェクトである。本企画が目指すのは、単なる作品上映の場ではなく、異なる場所に点在する「ビジョン」が回路(Circuit)として接続され、移動し、共有されていくためのプラットフォームである。
現代の映像表現は、映画館や美術館、オンラインといった制度のあいだを行き来しながら生成されているが、その多くは特定の都市や制度に留まり、十分に循環していない。
VISIONS CIRCUITは、そうした固定性を解除し、実験的な映像表現が各地を巡りながら、新たな文脈や観客と出会うための「移動する回路」を構築することを目的とする。
タイトルに含まれる「Visions」とは、単なる視覚像ではなく、作家それぞれの世界認識や思想、感覚の総体を指す。それらは完成されたメッセージとして提示されるのではなく、上映という出来事を通して観客と交差し、その都度異なる意味を帯びる。都市は単なる開催地ではなく、作品を読み替え、変形させる媒介として機能する。
「Connecting Cities Through Experimental Moving
Images」というタグラインが示すように、本プロジェクトが描くのは均質なネットワークではなく、差異を孕んだ複数の視点が往復する動的な関係性である。VISIONS
CIRCUITは、その回路を一時的に可視化し、次の都市へと手渡していく実践であり、実験的映像文化のための開かれたインフラとして成長することをめざしている。
桂 英史(メディア研究・芸術実践論/東京藝術大学大学院映像研究科教授)
01
日程
2026年2月11日(水・祝)11:00〜19:30(開場10:45〜)
会場
せんだいメディアテーク 7F スタジオシアター
〒980-0821 宮城県仙台市青葉区春日町2-1
撮影:山中慎太郎(Qsyum!)
写真提供:山口情報芸術センター[YCAM]
02
日程
2026年3月7日(土)11:00〜19:30(開場10:45〜)
会場
山口情報芸術センター[YCAM] スタジオC
〒753-0075 山口県山口市中園町7-7
https://www.ycam.jp/guide/access/
※3月6日(金)と3月8日(日)には関連プログラムを予定しています。
03
日程
2026年3月10日(火)11:00〜19:30(開場10:45〜)
会場
長崎県美術館 2Fホール
〒850-0862 長崎県長崎市出島町2-1
https://www.nagasaki-museum.jp/visitor/access/
※3月11日(水)には別会場にて関連プログラムを予定しています。
研修生
池添俊、尹苑、上野貴弘、國友勇吾、斎藤大幹、ジョイス・ラム、武政朋子、藤井翔太、松本桂、安田朱里、山科晃一
フェロー
玄宇民、トモトシ、潘逸舟
国際招待作家
Bruce Conner、Eric Baudelaire、Ikhyun Gim、Jiyoung Yoon
※五十音順、アルファベット順
各会場では、上映プログラムの最後にラウンドテーブルを実施します。 参加作家(RAM研修生、フェロー)に加え、RAMプロデューサーの桂英史教授や、参加作家でありVISIONS CIRCUITプログラムディレクターの玄宇民も登壇し、上映作品について語りあいながら同時代芸術をめぐるディスカッションを深めていきます。どうぞお気軽にご参加ください。
2026年2月11日(水・祝) 18:30〜19:30
2026年3月7日(土) 18:30〜19:30
2026年3月10日(火) 18:30〜19:30
アーティスト・詩人の青柳菜摘が、航海の女神・媽祖をめぐる信仰を起点に、船をめぐる歴史や物語を重ね合わせて構想した作品《亡船記》を、映像や朗読によるレクチャーパフォーマンスバージョンとして初公開します。
青柳菜摘
Natsumi Aoyagi
《亡船記》
レクチャーパフォーマンスバージョン
2026年 / 約35分
RAMフェロー
青柳菜摘
《亡船記》レクチャーパフォーマンスバージョン
2026年 / 約35分
《亡船記》は、2022年に十和田市現代美術館周辺で発表された、都市空間を回遊しながら鑑賞する作品です。中国発祥の航海の女神・媽祖を起点に、海を越えて伝播する信仰や船が時を経ることで変容していくすがたを手がかりに、複数の地点に映像や物語が散在する構成で展開されました。再現の難しい本作を、本発表ではレクチャーパフォーマンスとして再構成します。資料や映像、語りを往還しながら、世界各地に静かに佇む媽祖や航海の歴史、船の名称や物語を辿り、分散していた断片を一つの時間に束ね直します。船とともに移動する人間や動物、貨物、記憶と言語が重なり合い、海を越えて連なっていく想像上の航海を、現在の場に呼び戻す試みです。海は領地や国家、思想を隔てるのではなく、水際として繋ぎ続けているのではないかということを、「在らざる船」というキーワードをもとに語ります。
青柳菜摘《亡船記》
2022/2026(レクチャーパフォーマンス版)
初出:十和田市現代美術館周辺(青森、2022)
青柳菜摘
アーティスト・詩人
映像メディアを用いた同時代芸術のアーティストとして、フィールドワークやリサーチをもとに、プロジェクトベースに主題を立て作品を発表している。近年の活動に個展「亡船記」(十和田市現代美術館サテライト会場 space, 2022)、「ICC アニュアル 2024 とても近い遠さ」展(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC], 2024)など。詩集『そだつのをやめる』(thoasa, 2022)が第28回中原中也賞受賞。「JUMP アーティスト+キュレーター国際協働プログラム」に選出され、2026年にポルトガルで作品発表予定。コ本や honkbooks主宰。「だつお」というアーティスト名でも活動。
「連詩林」は、詩人や歌人、アーティストが集い、リレー形式で詩文を紡いでいく共同制作のプロジェクトです。4連でひとつの詩を構成するソネット形式を用い、それぞれが異なる場所で書いた詩がつながり、ひとつの作品として完成します。やまぐち連詩林では、山口にゆかりのある詩人やアーティストなどをゲストに迎え、詩の公開制作を行います。
公開制作にあわせて、山口を代表する詩人である中原中也や種田山頭火、さらにヨーロッパの伝統的なソネット形式を日本の詩に取り入れた大岡信などを取り上げ、詩人や詩の歴史についてのトークも実施します。
「やまぐち連詩林」公開イベント
日程:
2026年3月8日(日)
公開制作・トーク 14:00-16:00(開場13:45-)
連詩発表 16:00-16:30
会場:山口情報芸術センター [YCAM] スタジオC
入場:無料、事前予約優先/当日入場可
ご予約はこちら
出演:
〈トーク〉
カニエ・ナハ(詩人)
時里二郎(詩人)
〈連詩林〉
青柳菜摘(アーティスト、詩人)
大石一貴(彫刻家)
竹中優子(歌人、詩人、小説家)
原明子
深野宗泉(洞春寺住職)
松倉如子(歌手)
今福龍太と青柳菜摘によるレクチャーパフォーマンス&トークを開催します。今福は、リスボンやマラッカ、マカオ、長崎といった港町を手がかりに、海を通じてつながってきた都市や島々の記憶をひもときます。青柳は山口に続き、《亡船記》レクチャーパフォーマンスバージョンを上演。長崎の地を舞台に、海の往来が育んだ文化や想像力を交差させ、新たな視点をひらきます。
日程:2026年3月11日(水)13:00-15:00(開場12:45-)
会場:beautone studio [MITSUNAGA BLDG 2F] (長崎県長崎市船大工町3-17 光永ビル2階)
入場:無料、事前予約優先/当日入場可
ご予約はこちら
レクチャーパフォーマンス:
今福龍太「フォルモーサの群島──リスボン、マラッカ、マカオ、ナガサキ」
青柳菜摘「《亡船記》レクチャーパフォーマンスバージョン」
今福龍太
Ryuta Imafuku
文化人類学者、批評家
1980年代初頭よりカリブ海・メキシコ・ブラジルでクレオール文化を研究。2002年より奄美・沖縄・台湾を結ぶ野外学舎〈奄美自由大学〉主宰。三線および月琴を抱え、現代における「吟遊詩人」の可能性を探求する。Bardic Opera(吟遊オペラ)と名づけた舞台公演を世界各地で行う。ブラジル・サンパウロ大学、台湾・淡江大学などで客員教授を歴任。著書に『群島-世界論』『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』(讀売文学賞)『宮沢賢治 デクノボーの叡知』(宮沢賢治賞・角川財団学芸賞)『仮面考』ほか多数。詩集に『韵』(川満信一との共著)。近刊に『私という群島』。
青柳菜摘
Natsumi Aoyagi
アーティスト、詩人
映像メディアを用いた同時代芸術のアーティストとして、フィールドワークやリサーチをもとに、プロジェクトベースに主題を立て作品を発表している。近年の活動に個展「亡船記」(十和田市現代美術館サテライト会場 space, 2022)、「ICC アニュアル 2024 とても近い遠さ」展(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC], 2024)など。詩集『そだつのをやめる』(thoasa, 2022)が第28回中原中也賞受賞。「JUMP アーティスト+キュレーター国際協働プログラム」に選出され、2026年にポルトガルで作品発表予定。コ本や honkbooks主宰。「だつお」というアーティスト名でも活動。