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東京藝術大学大学院映像研究科が主催する人材育成事業geidaiRAM (Research-based Arts Management)では、一般公開のレクチャー・シリーズを開催しています。社会を巡る状況が大きく変化しつつある中、日本におけるアートマネジメントやアートプロジェクトを問い直し、地域やコミュニティとアートの関係を捉えなおすために、geidaiRAMではさまざまなゲストを招いて公開で議論することで、社会に問いを開いていきたいと思います。

第7回目オープン・レクチャーでは、東欧や東南アジアの、共産主義、軍国主義、封建主義、といった様々な形の全体主義国家で実際にアートを使ったメディアアクティビズム活動とその指導、および研究を長年行ってきた清恵子さんをお招きします。ウィキリークスやアノニマスなど、メディアを使ったアクティビズムが世界を揺るがしている一方、マスメディアでは、「アラブの春」とiPhoneとの関係のように、メディア革命と政治革命を結ぶ報道のやり方が一般的になってきています。こうして市民がメディアを使って政治改革活動を行い、それを産業がメディア機器の宣伝に利用する、という構図が出来上がり、それが再びメディア・アクティビストたちの課題ともなっています。実際に革命や改革の現場にいる人びとは、メディアをどのように見、扱っているのでしょうか。言語や行動、移動の自由、また技術や情報の限られた場所にいる人たちは、技術の進歩に左右されない、内からのメディア感覚のようなものを研ぎ澄まし、体制側に感知されないための巧妙な表現戦略を考え出してきました。情報メディアに対するリテラシーがアートと接続され、さらに歴史と社会現実に働きかける現場で活躍されてきた清さんのレクチャーでは、その具体的な事例となる記録映像をみながら、日本をはじめ、自由民主国家と知られる社会の現状と展望について考えてみたいと思います。

【入場無料・事前予約不要|受講生以外の方もご参加頂けます】
日時:2015年1月19日(月)18:30〜21:30
場所:東京藝術大学上野キャンパス美術学部中央棟1F第1講義室

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主催:東京藝術大学大学院映像研究科 平成26年度文化庁「大学を活用した文化芸術推進事業」

講師プロフィール:
清恵子(せい・けいこ)
キュレータ、メディア・アクティビスト、著述家。チェコのブルノ工科大学ビデオ科主任、ドイツのカールスルーエ芸術デザイン大学客員教授。1980年代に日本のビデオアートを支えたVideo Gallery SCAN(代表:中谷芙二子氏)のディレクターとキュレータを務めた。その後、共産主義国家のメディア状況を研究するために1988年に東欧に移住。東欧各地のメディア・アクティビストやアーティストたちとメディアやアートを使った民主活動を開始する。東欧の民主化後も、ユーゴスラビアの市民闘争におけるメディア研究を続けるとともに、「The Age of Nikola Tesla」(オスナブリュック、ドイツ、1991)、「EX-ORIENTE-LUX-Romanian Video Week in Bucharest」(ブカレスト、ルーマニア、1993)「Orbis Fictus – New Media In Contemporary Arts」(プラハ、チェコ、1995)「 POLITIK-UM/New Engagement 」(プラハ城、チェコ、2002)といった、政治とアートとメディアの問題を取り入れた斬新なプロジェクトのキュレーションを次々と打ち出した。東欧の変革を記述したそのビデオコレクションからなる清氏のアーカイヴは、ウィーンのGenerali Foundationで公開され、パーマネントコレクションとなる。2002年に活動を東南アジアに移し、ミャンマーとタイを中心に研究と活動を続けている。オーストリアのSpringerin誌特派員。ドクメンタ12のマガジン・プロジェクトおよびドクメンタ・マガジン編集委員(2006ー2007)。軍事政権下のミャンマーでは、映画教育と映画祭を立ち上げた。ドイツから出版の『Von der Bürokratie zur Telekratie(ビューロクラシーからテレクラシーへ)』編集の他、著書にチェコで出版の『Terminal Landscape』がある。

企画・運営:馬定延
デザイン:和田信太郎
広報:小形幸、堀江映予(geidaiRAM)