RAM OPEN LECTURE #10
「アシブミする表現スル ― ポスト・トラベローグの道行き」
伊藤比呂美 × カニエ・ナハ × 桂英史

開催概要

ソーシャルメディアで覆い尽くされた結果、誰かの旅の報告を目にすることが多くなりました。だが、それもコロナ禍で移動さえも困難になってしまい、タイムラインが一様に変わったのは誰もが知るところです。本来、旅とメディアは睦まじいほど、どこかを訪れて、感じ考えたことを記して伝えることの歴史は厚く、表現する衝動を駆り立てる何かがそこにあるようです。本企画は、記録と表現の営為をめぐり、「トラベローグ(紀行文/紀行文学)」をテーマにして、実践の地平を広げるオープンレクチャーです。

詩人の伊藤比呂美氏をゲストに迎えて、カニエ・ナハ氏(詩人, RAMフェロー)、桂英史氏(メディア研究, RAMプロデューサー)が登壇し、10月にリリース予定の紀行文アンソロジー『ボヤージュ・ボヤージュ・イン・ザ・ボックス、アシブミ、ハイケイ、メイビーあるいは、旅の領界』を中心に、RAMメンバーが取り組んだ作品の紹介、朗読パフォーマンスを交えながら、同時代の言語表現についてディスカッションを深めていきます。

今回のオープンレクチャーは、Zoomウェビナーのオンライン開催です。多くの方のご参加をお待ちしています。参加無料、要予約。

出演伊藤比呂美[詩人]
カニエ・ナハ[詩人, RAMフェロー]
桂 英史[メディア研究, 芸術実践論, RAMプロデューサー]
日時2020年09月24日 [木] 19:30 ‐ 22:00
会場ライブ配信(Zoom ウェビナー)
無料・要事前予約。開催前日に配信URLをメールにて送付します。
視聴方法無料・要予約。定員300名。
予約フォームよりお申込みいただいた方に、前日までに配信URLをお送りします。
予約受付は終了致しました。

※ Zoom ウェビナーでのライブ配信となります。インターネット接続が安定した環境からのご参加をお願いします。
※ 配信URLを第三者へお知らせする行為はお控えください。
※ 配信URLを記載したメールが届かない場合、お手数ですが geidairam@gmail.com までご連絡ください。
予約フォーム予約受付は終了致しました。
お問い合わせgeidairam@gmail.com
主催東京藝術大学大学院映像研究科 RAM Association
助成2020年度文化庁「大学における文化芸術推進事業」


地図に描かれたルートから外れ、旅をすることの意味も変わってしまった今、しばし立ち止まり、アシブミしつつ、そもそもヒトが旅をするとはなんであったか、今後ヒトが旅をするとはどういうことになってゆくのか、ここまでの/この先の、道行きについて考えてみる、珠玉の〈紀行文学〉をひもときながら。

初期の詩集から新刊『道行きや』にいたるまで、東京、熊本、カリフォルニア…etc.、つねに移動し移住し旅をしながら、唯一無二の文学をつむぎつづけている、詩人・伊藤比呂美氏をゲストにお招きし、今回は〈紀行文学〉の視点から、その特異なトラベローグ(旅の記録)の技法の、そのラディカルな表現の、旅の報告をしていただく。

そして、まもなくリリースされる、RAMメンバー16名の執筆陣による〈紀行文アンソロジー〉=『ボヤージュ・ボヤージュ・イン・ザ・ボックス、アシブミ、ハイケイ、メイビーあるいは、旅の領界』について、その独特の制作プロセス(これもまた旅だった)から読者へのお届け方法(これもまたきっと旅になる)までを、イントロデュースする。

カニエ・ナハ[詩人, RAMフェロー]

伊藤比呂美 [詩人]
1955年、東京都生まれ。性と身体性をテーマに現代詩をリードしつづける一方、80年代には『良いおっぱい悪いおっぱい』で出産・育児エッセイの分野を切り拓く。『河原荒草』『とげ抜き新巣鴨地蔵縁起』で、説経節と現代詩が融合した語り物の世界を作りあげた。近年は古典や仏教の現代語訳を通して生活の中の死と生を(『読み解き般若心経』『新訳説経節』)、女の生活、女の苦を(『女の絶望』『女の一生』『たそがれてゆく子さん』)を、また植物に関する著作も多数。近作は『切腹考』『道行きや』。1997年にカリフォルニアに移住、2018年に早稲田大学で教えるために帰国。任期は3年。現在、熊本在住。

カニエ・ナハ [詩人, RAMフェロー]
2010年「ユリイカの新人」としてデビュー。2016年、詩集『用意された食卓』で第21回中原中也賞、第4回エルスール財団新人賞。本の装丁や、アーティストとのコラボレーション、朗読パフォーマンスも多数行っている。主な参加展に「MOTサテライト 2017 春」(東京都現代美術館、2017)、「スペクトラム」(スパイラル、2015)等。2017年にはNHKのドラマ「朗読屋」に出演、スカパー!のアートドキュメンタリー「Edge 詩人カニエ・ナハ 未だ見ぬ詩の世界へ」が放送される。2018年には米アイオワ大学に、またフィンランド、ラハティ・ポエトリー・マラソンに招聘され、朗読パフォーマンス等を行う。2020年「さいたま国際芸術祭2020」「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」に参加。


桂 英史 [メディア研究, 芸術実践論, RAMプロデューサー]
専門はメディア理論、芸術実践論、図書館情報学。主な著作として、『インタラクティヴ・マインド』、『図書館建築の図像学』、『東京ディズニーランドの神話学』、『人間交際術 コミュニティ・デザインのための情報学入門』、『せんだいメディアテーク コンセプトブック』(共編著)、『先端芸術宣言』(共編著)などのほか、最新刊として『表現のエチカ 芸術の社会的な実践を考えるために』(青弓社)がある。東京藝術大学大学院映像研究科教授。東京藝術大学大学院映像研究科が主催するノンディグリープログラム「RAM Association」のプロデューサーを務める。


RAMメンバー16名の執筆陣による〈紀行文アンソロジー〉

『ボヤージュ・ボヤージュ・イン・ザ・ボックス、アシブミ、ハイケイ、メイビーあるいは、旅の領界』


RAM Associationでは、詩人のカニエ・ナハをRAMフェローに迎えて、2019年より《詩と言葉と本のワークショップ》を実施してきました。各回ごとに、現代詩、俳句、ダンス・パフォーマンス、遊歩、本といった主題を立て、芸術における言語表現をワークショップ形式で再考するプロジェクトとして、さまざまな作品や活動が生み出されました。
「トラベローグ(紀行文/紀行文学)」をテーマにしたアンソロジー・プロジェクトはその一つです。参加メンバーは1人1冊の本づくりを2020年1月から取り組み、ポスト・ドキュメンタリーという視座のもと、小説、詩、エッセイ、写真集など、それぞれのトラベローグ作品を手がけ、メディアとしての本づくりをデザイン監修の柳川智之のもとで探求してきました。
途中、コロナ禍のパンデミックを受けて中断せざるを得ませんでしたが、移動を困難にした未曾有の事態は、「トラベローグ」という意味の更新を迫り、プロジェクトに喫緊さを与えたことは疑いようもありません。ようやく完成した『ボヤージュ・ボヤージュ・イン・ザ・ボックス、アシブミ、ハイケイ、メイビーあるいは、旅の領界』は、こうした道行きを経て辿り着いた作家たちの同時代への応答でもあるのです。旅をどのように書き記すことができるか、各人各様の16作品20冊を3回配本にて発表していきます(第1弾は11月配本予定)。

和田信太郎[RAMディレクター]

2020-09-13|