移動やマイグレーションを主題に、異郷を訪れなにがしかの新しいものと出会うことから作品を⽴ち上げてきた私は正直なところ途⽅に暮れています。多かれ少なかれ、皆さんもそうでしょう。この状況は「移動」と「異郷」をめぐる想
像⼒を⾼めることができるのでしょうか?「渡航」を制限された状況下で、来るべき航海に向けての⾵を読むことを試みます。

【係留地】まずはそれぞれの個⼈にとって「居場所」「移動」「異郷」とはなんだったのか、これまで各個⼈が取り組んできた制作を紹介しあうなかから、それぞれの⽴ち位置を確認します。

【航路】⽂化の伝播のように、地図的な理解ではなく⽬に⾒えない「ルート」が思わぬ場所どうしを結びつけることがあります。このセッションではそうした「不可視の航路」をリサーチ、紹介することをめざします。最終的には、それぞれの制作において異なる場所をどのように「語りという流れ」の中で取り扱うことができるのかを模索します。

それぞれがこれまでの制作で移動や場所をどうとりあつかってきたのか、各々の問題意識を共有し、異なる場所についてリサーチを通して知っていくなかで、イメージと語りによる新たな移動のメタファーが⽣まれることを⽬指します。


開催日:2020年8月2日、8月23日、9月6, 19日、10月4, 17日、 11月14日、12月12, 19日、2021年1月23日


【 寄港地 】

2020年は各自の発表、ディスカッションを経たのちに、「これまでの議論を踏まえ、今いる場所から〈いるはずであった場所〉〈行われるはずだった旅〉について語る。」という条件を元にそれぞれが習作を制作しました。
それらの映像を大逃航の「寄港地」として公開いたします。


【「われわれは海から来た」トークイベント 映像アーカイヴ 】

「あなたを小笠原諸島へ旅立つ海賊船にご招待いたします」
韓国のキュレーター、パク・ガヒとアーティスト、キム・イクヒョンの企画により2021年2月にオン・オフラインで実施された企画「われわれは海から来た」。韓国側の全参加作家と日本からRAMフェローの玄宇民(ONLINE SCREENINGで上映したキム・イクヒョンとの共作《足跡を踏むと If you take a Ferris wheel 정오의 태양을 보면 2010 – 2021 》で参加)、ゲストにキュレーターの井高久美子を迎え「公海」「無主地」「小笠原」などのキーワードを出発点に企画の全容と今後の展望についてトークを行いました。映像アーカイヴを公開します。



玄 宇民(げん・うみん)| 映像作家
1985年東京生まれ。生まれた地を離れた人々のありようと移動の記憶、マイグレーションをテーマに映像作品を制作。主な作品に『NO PLACE LIKE HOMELAND』(2011)、『OHAMANA』(2015)、『未完の旅路への旅』(2017)など。香港の離島、韓国の済州島から始まるプロジェクト『逃島記』を2018年より継続中。ソウル独立映画祭(韓国)、Taiwan International Video Art Exhibition(台湾)、ディアスポラ映画祭(韓国)などで作品上映。東京大学文学部美学芸術学専修卒業。東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修士、同博士後期課程修了。
WEB | http://vimeo.com/woominhyun

2020-10-20|